2014年7月30日水曜日

Johnston & Murphy “Aristcraft”




1960年代後半~70年代前半ごろのものでしょうか。

お店の方が「Aristcraftの鳩目は珍しい、今回の入荷の目玉だ」とお勧めして下さり、購入しました。
サドルではなく、普通のウイングチップでという意味だと思いますが、たしかにその後もなかなか見ません。
貴重なものを勧めていただいたことに感謝しています。
ちなみに、ここまでこのブログに登場している靴は全て、インターネットではなく店頭で購入した靴です\(^o^)/

肉厚でありながらしっとりした良質なシボ革で、鳩目、内羽根のウイングチップ、もしかしたらステファノ・ベーメルあたりにも影響を与えたのかなと思うような意匠です。

ライニングは革で中敷には“Made in USA”入りのロゴ

比較的最近のCat's Paw。

J&Mはこれより後の時代になると急激に作りも革質も落ちてゆきますが、この靴は「大統領靴」として知られるトップ・ブランドの面目を保っていると思います。

ヴィンテージのJ&Mは何足か購入しましたが、他のメーカーに比べて、芯ががっちりしており、構築的で、アメリカやカナダの靴としては固めの履き味です。
Netlettonなどもそういう傾向があると思いますが、欧州志向、英国志向といえるかもしれません。



2014年7月12日土曜日

Mansfieldのメッシュ

“Mansfield”という聞きなれないブランドになっていますが、お店の方によるとBostonianだそうで、1950年代のものだそうです。

この1956年の広告にも同じようなものがあります。


実際に履き比べてみると、たしかに普通の革靴よりも格段に涼しくて、暑い日には助かります。
ローファーやホワイトバックスとはまた違ったカジュアルな感じ、リラックス感がありますね。

ちょうど“SUPER 8 SHOES”さんのブログでも、メッシュのNettletonとNunn-Bushが取り上げられていましたが(http://ameblo.jp/super8shoes/entry-11891013504.html)、特にNettletonのアッパーはかなり手間をかけていそうですね。

このMansfieldは、アッパーに関してはそこまで念入りではないのですが、コバの仕上げもなかなかで、アウトソールの出し縫いが、この時代ならではという感じの細かさ。





この年代のものにしては、まだまだ革の乾燥も進んでおらず、重宝しております。

2014年7月3日木曜日

Mchaleのストレート・チップ


カナダのメーカーといえば、Dack's、Hartt、そしてこちらのMchaleが知られていますが、カントリー色の強いものが多いDack'sやHarttに比べて、Mchaleは華奢で洗練されたものが多いと感じます。

単にまだ良いものしか入ってきていないだけかもしれませんが、カナダのものは革の質が素晴らしいものが多いですね。

Mchaleはこちらのサイト
http://ameblo.jp/permanent-mens/entry-11145770245.html
によると、
The McHale shoeはJohn McHaleとFrancis Stuart Scottの二人によって1909年、ロンドンとカナダのオンタリオで創業されました。特にカナダではアメリカのシューメーカーと競争できる数少ないシューメーカーだったようです。
北アメリカの伝統的な木型を使って靴を生産していたMcHaleは当時、イギリスのJohn Lobbとも並ぶメーカーと言われていたそうです。
オンタリオという土地柄かシカゴやデトロイトの靴屋にも卸していたようですね。
とのことです。

昔のインソールを見ると、“LONDON.CANADA”と書いてあり、お店の人にもよると両地で生産されていた、またOEMでアメリカ製造もあったかもしれない、とのこと。

なので、正確にどこで作られた靴かはいまのところ分からないのですが、6対のアイレット、小さな「本当の」キャップ・トゥ、そして履いてみると返りが非常に柔らかく、北米的であると感じます。

先日、出先でストレートチップが必要なことがあり、この靴を空港の手荷物検査に持ち込んだところ、長方形のシャンクっぽいものが映っていたのでまじまじ見てしまったのですが(ちょっと不審)、あの映り方は金属ということなのだと思いますが、どのようにしてこの返りの柔らかさを実現しているのでしょう。

お店の方によると、この靴はおそらく60年代ぐらいのものではないかということでした。

ソールが薄くて7mm程度、ライニングは綿布。
中敷の革はしっとりした質感の良いものです。

何よりも、アメリカ的なディテールとエレガンスを兼ね備えた絶妙なバランス、そして履き味の柔らかさに感動します。
割と細長いのに嫌らしいロングノーズのようには全くならず、ボールジョイントの外周にも余裕があります。

この靴がとても良かったので、古靴店で何足か試し履きさせていただいたのですが、サイズが同じでも各々ラストの形がかなり異なっており(時代やモデルで?)、残念ながら同じような感覚は得られませんでした。
その意味でもこの靴は、自分にとって宝物のような一足であると思います。